November 20, 2016

音楽家の為の「音楽著作権解説」@

一つの楽曲が生まれて、リスナーの耳に届くまで、そこには様々な立場の人々が関わっています。 しかし案外、権利者の立場である音楽家の方々から「著作権周りが難しくてよく分からない」という声を耳にします。 「音楽を聴く」ということがどんどん手軽になる一方で、音楽ビジネスとは「権利ビジネス」であるという本質が重要度を増し続けています。 そこでChocoMintは「音楽家の為の」といった視点で、難しい条文や専門用語になるべく依存しない文体の「音楽著作権解説」を用意しました。 皆様の参考になれば幸いです。


第一回「著作権法の目的」

一般的な感覚からすると、著作権法と言えば「部外者向けの禁止事項」といったイメージがあるのではないでしょうか。 世の中では「著作権の侵害だ!」と、顔も知らない誰かが声を荒げ、演奏をやめさせたり、ネット配信が削除されたり、 訴訟を起こされたりといったことが次々に起こっていますね。 これは当然、法律というルールの下で行われている「正しいこと」なのですが、もしかしたら「不便だな」と感じている人もいるかもしれません。 しかし誤解しないで下さい。 実は、著作権の目的というのは「あれこれと禁止すること」ではありません。 著作権法の条文で、目的はこう書かれています。


第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、 これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。 ※著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)より引用


「文化の発展に寄与すること」つまり「未来の音楽を豊かにすること」が目的なのです。 「え〜嘘だぁ」とか「現実と全然違うじゃないか」と思う人もいるかもしれませんね。 では、なぜ世の中では「著作権侵害だ!」と言って、逆にあれこれ禁止をするようなことばかりが起こっている(ように見える)のでしょう。 実はあれこれ禁止しているのは、飽くまで「手段」であって「目的」ではないのです。 「目的」とは「未来の音楽を豊かにすること」です。 その為には、音楽を作る人(著作者)の存在は絶対に必要ですね。

そもそも音楽を作るという行為は、とてつもなく巨大な労力が必要となります。 音楽を作る人、所謂「作家(著作者)」は寝る間も惜しんで制作にかかります。 その間当然生活費を稼ぐことはできません。 遊ぶことだって、家族サービスだってできません。 つまり彼らにとって音楽を作ることは人類の為に「時間を捧げること」であり、出来上がった楽曲は彼らの「知的財産」なのです。 その知的財産を「え?お金とるの?形のないものだから無料で使ってもいいよね?っていうかむしろ、 君じゃなくて僕が作ったことにしてもいい?形のないものなんだからいいでしょ?別に君の作った物が減るわけじゃなし。」 と勝手なことをする人がいたらこれは泥棒ですよね。 無形物の略奪ですよね。 そして詐欺ですよね。 もしそのような悪質な行為が繰り返されていたら、本当に才能や技術のある作家は日の目を見ず育たないですし、 仮に育ったとしても労力が財産に結びつかなければ死活問題になってしまいます。 つまり「作家を保護する」という行為は「ルール(著作権法)を設けて悪質な利用を禁止、排除する」という手段に直結しますね。 そうやって作家の権利をきちんと守ることが、条文の「文化の発展に寄与する」という目的の為に必要なことなのです。


<補足>
著作物:思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
著作者:著作物を創作した者
著作権:著作者に与えられる権利(著作物を創作した時点で自動的に付与され、何らの登録等を要しない)
著作権侵害に対する救済:
【民事】権利者は、侵害者に対し、損害賠償請求や差止請求が可能
【刑事】侵害者は刑事罰の対象となる。ただし、著作権等侵害罪は、原則として権利者の告訴がないと起訴できない(親告罪)。 法定刑は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金。

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